日本支部 学術大会・その他

国際高麗学会日本支部 第29回学術大会

 

国際高麗学会日本支部は第29回学術大会を山梨県立大学で開催することになりました。参加費は無料で、どなたでもご参加いただけます。皆様のご参加をお待ちしております。

 

★登壇者のご協力により、短編映画、カヤグム演奏をオンラインでもご覧いただくことができるようになりました!

日時:2025年6月7日(土)受付9時半開始

開催形式:対面&オンライン

会場:山梨県立大学飯田キャンパス B館

住所:〒400-0035 山梨県甲府市飯田5-11-1

Zoom URL:https://us06web.zoom.us/j/85766948835?pwd=MXxM0KnYZE2IlPPhigQLR0GmlVtcWv.1

 

主催:国際高麗学会日本支部、山梨県立大学国際政策学部、大韓民国民団山梨県地方本部

協賛:山梨総合研究所

 

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シンポジウム「日韓国交正常化60周年と在日コリアンー本国志向・在日志向再考 -21世紀在日コリアンのアイデンティティを考える―」

 

いま在日コリアン社会は、大きな変化を迎えている。植民地支配に由来する在日の「特別永住者」は30万人を下回り、累積の日本国籍取得者は40万人に達しつつある。

もちろん「帰化」の増大は、同化や風化が同じ程度ですすんでいることを意味するわけではない。

むしろ3世以下の世代で「本国回帰」や「先祖帰り」の傾向も目立っている。

暮らしの拠点を韓国に求めたり、二重国籍を維持する若い世代も少なくない。

「越境する在日」が一つのトレンドとして定着しているのである。

 

一方で韓国が民主化され、経済発展も成し遂げ、日韓間の格差が大きく縮まる中、韓流ブームが起こり、日韓を行き来する旅行者数も爆発的に増えた。

このような時代の流れの中で、在日コリアンの意識はどのように変化したのだろうか。これが今回のシンポジウムの視点の一つである。

 

日韓国交正常化60年を迎える現在、50年前と何が変わり、何が変わっていないのか。

古くて新しい問題であるはずの在日コリアンのアイデンティティを改めて論じたい。

 

今回のシンポジウムでは以上の問題意識を踏まえ、まず、本学会会長の伊地知紀子がこの間の在日コリアン社会の変化と課題について提起する。

さらに発題者として3人の在日コリアン3世(民族器楽の第一人者である文良淑国立国楽管弦楽団カヤグム首席、韓国に「永住帰国」した徐台教記者、そして日韓を行き来しながら両国の社会と人々の考え、心を映画で描く全辰隆監督)をお招きした。

3人は在日3世という背景を持ちながら、それぞれ本国、もしくは本国と日本をまたぎながらその活動の場を求めている。

もちろん自らの意志で選択し、実行し、それぞれの分野で経験と実績を築いてきた。何が彼らにそのような選択をさせたのか。

 

シンポジウムでは、以上の4名の報告を軸に、さらに韓国から来日した研究者の見方やフロアーからの意見も交えながら、現在置かれている在日コリアンの状況と意識、今後の課題について議論する。

 

【プログラム】

 

  9:30               受付開始

 

10:00              自由論題

 

◎自由論題1 [教室B302] 司会:梁 仁實(岩手大学)

「在日コリアンに関する社会運動における「支援/被支援」関係再考:朝鮮学校支援を中心に」金 裕賢(大阪公立大学大学院)

「韓国系ニューカマー第二世代における「個人志向」の検討」韓 在賢(京都大学)

「民族アイデンティティの変遷ー在日コリアンと多文化社会との比較からー」文 光喜(愛知朝鮮学園)

「朝鮮学校卒業生にとっての<祖国>の意味 ―フォローアップ調査からー」山本 かほり(愛知県立大学)

 

◎自由論題2 [教室B301] 司会:金 友子(立命館大学)

「地域の視点から民闘連運動を捉えなおす:1980年代に焦点を合わせて」加藤 恵美(帝京大学)

「朝鮮半島出身被爆者支援活動から考える被爆体験継承の意味」髙橋 優子(大阪公立大学人権問題研究センター)

「韓国民主化運動からみた在日朝鮮人のアイデンティティー在日韓国青年同盟を中心に」趙 基銀(東京外国語大学海外事情研究所)

「民闘連の運動と在日朝鮮人アイデンティティー「同化」と「主体(性)」をめぐって」鄭 栄鎭(大阪公立大学)

 

◎自由論題3 [教室B207] 司会:池 貞姫(愛媛大学)

「呂運亨とスポーツ関係者の解放政局ー建国青年治安隊の組織と朝鮮体育同志会の活動に着目してー」金 誠(札幌大学)

「「連絡船は出てゆく(連絡船の唄)」から捉える戦後日本の記憶の溝」孫 長熙(大阪大学大学院」

「ディスレクシアの読解能力向上を即したハングルタイポグラフィ要素に関する研究 ー機能的フォント開発における文字形態の弁別性ー」劉 賢国(筑波技術大学)

 

12:00    [教室B207]         国際高麗学会日本支部総会

 

13:00 [講堂]

 

・映画上映『客観的恋愛談(객관적 연애담)』全辰隆監督作品

 

・文良淑氏 二十五弦カヤグム演奏 『Doraji』

 

・シンポジウム「日韓国交正常化60周年と在日コリアンー本国志向・在日志向再考 -21世紀在日コリアンのアイデンティティを考える―」

 

 モデレータ     文 京洙  立命館大学 名誉教授

 基調報告      伊地知 紀子  大阪公立大学 教授

 報告1               文 良淑  国立国楽管弦楽団カヤグム首席

 報告2               全 辰隆  映画監督

 報告3               徐 台教  ジャーナリスト

 コメント1  任 君三  山梨県立大学 国際政策学部 准教授

 コメント2      朱 成敏  山梨県立大学 国際政策学部 講師

 

※午後6時より懇親会を予定しています。ご希望の方は5月11日(日)までにお申し込みください(参加費6千円予定)。

 

 

【プロフィール】

 

伊地知紀子

1966年生まれ。大阪市立大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学、博士(文学)。大阪公立大学大学院文学研究科教員。国際高麗学会日本支部会長。専門は、朝鮮地域研究、生活世界の社会学、文化人類学。著書に、『和解をめぐる市民運動の取り組み─その意義と課題』(明石書店,2022,共著)、『阪神都市圏の研究』(ナカニシヤ出版,2022,共著),『街場の日韓論』(晶文社,2020,共著)、『消されたマッコリ。─朝鮮・家醸酒(カヤンジュ)文化を今に受け継ぐ』(社会評論社,2015,単著)、Rethinking Representations of Asian Women:Changes, Continuity, and Everyday Life(New York : Palgrave, 2015,共編著)、『日本人学者 가 본 제주인의 삶』(済州大学校耽羅文化研究所,2013,単著)

 

文良淑

1974年奈良県生まれ。在日コリアン3世。韓国・中央大学校音楽大学韓国音楽科卒業、同大学院修了。現在、東国大学校博士課程在学中。国立国楽管弦楽団カヤグム首席奏者。ソウル大学校・東国大学校講師、文良淑カヤグムアンサンブル音楽監督として活動。National Chinese Orchestra Taiwan、The Orchestra ASIA Japan、国内外の多くの楽団と共演。「語るカヤグム」 「Beyond」 「弦の旅路」などの独奏会を9回開催。KOREA FANTASY 欧州ツアー、UN戦争勇士追悼音楽会、仁川空港「光の旋律」音楽監督など多彩な舞台に参加。2013年文化観光部長官賞、韓国作曲賞大賞作品の初演など受賞歴も豊富で、独自の音楽スタイルを築いていると高く評価されている。

 

全辰隆

1989年秋田県生まれ。在日コリアン3世。ソウル国立大学 スペイン語文学部 卒業。韓国芸術総合学校 (Korea National University of Arts, Korea) 専門士(修士課程)映画科 演出専攻卒業。高校生の頃に韓国語を学ぼうと韓国映画を見ているうちに映画を好きになる。秋田高校を卒業後、韓国語と韓国の文化を学ぶため渡韓。その後ソウル大学に進学、自ら映画を作りたいと思い、在学中に映画サークルに加入し映画制作を始める。本格的に映画制作を学ぶため、韓国芸術総合学校へ進学し映画演出を専攻する。韓国ソウルで14年間生活し、2022年から東京在住。

 

徐台教

1978年群馬県生まれ。在日コリアン3世。朝鮮半島情勢を伝えるニュースレター『コリア・フォーカス』編集長。主な取材対象は南北関係、朝鮮半島問題、韓国政治など。1999年から途中3年を除き韓国に住み、人権NGO代表や日本メディアの記者として朝鮮半島問題に関わる。2015年韓国に「永住帰国」すると同時にジャーナリストとして独立。現在は日本メディアへの出演・寄稿の他に、Yahoo!ニュースエキスパート、YouTube『徐台教の韓国通信』などでも記事を配信。ソウル外国人特派員協会(SFCC)正会員。2022年「第7回鶴峰賞言論部門優秀賞」受賞。

 

【お問合せ】

国際高麗学会日本支部 isksj@isks.org

山梨県立大学 国際政策学部 総合政策学科・徐正根 tarson@yamanashi-ken.ac.jp

 

過去の学術大会

第28回 日韓連帯とは何だったのか、何を生み出したのかーその基層にあるもの 『コリアン・スタディーズ』第13号 24.6.8
第27回 アーカイブの中の「在日」 『コリアン・スタディーズ』第12号 23.6.10
第26回 MZ 世代の登場と変わりゆく韓国社会 『コリアン・スタディーズ』第11号 22.6.11
第25回 女が書く、女を書く―文学の中の在日朝鮮人女性 『コリアン・スタディーズ』第10号 21.6.30
第24回 “韓国併合”110年―日本による植民地支配の比較研究:戸籍制度から見る人的管理制度を中心に                『コリアン・スタディーズ』第9号 20.10.31
第23回 3・1独立運動の多元的可能性  『コリアン・スタディーズ』第8号 19.6.8
第22回 朝鮮半島の民俗芸能と在日コリアン   18.6.10
第21回  躍動する韓国市民社会と日韓関係-文在寅新政権の行方    『コリアン・スタディーズ』第6号 17.6.3
第20回  日本の新安保法制と東アジアの安全保障   16.6.4
第19回  新たな米中関係下の日韓関係の在り方について考える  『コリアン・スタディーズ』第4号 15.6.6
第18回  ヘイト・スピーチ、排外主義の台頭と在日コリアン  『コリアン・スタディーズ』第3号 14.6.8
第17回  朴槿恵新政権の誕生と日韓関係の行方   13.6.1
第16回  揺れる朝鮮半島~金正恩体制と韓国大統領選挙の行方~   12.5.27
第15回  在日コリアンをめぐる今日的課題   11.6.5
第14回  「韓国併合」100年と日韓・日朝関係   10.6.13
第13回  世界同時不況化の韓国社会~彷徨う企業と若者たち   09.6.6
第12回  韓国における政権交代と南北関係の行方   08.5.25
第11回  在日コリアン研究の現状と現状と課題   07.5.20
第10回  どうなる日韓関係:韓流と嫌韓流、二つの潮流を読む   06.5.20
第9回  インターネット時代のメディアと市民参与   05.11.20
第8回  在日コリアンの民族教育   04.11.28
第7回  グローバリゼーションと韓国社会   03.11.30
第6回  在日コリアンフォーラム-在日コリアンと公共性    02.11.23
第5回  在日コリアンの現状と未来    00.11.19
第4回   朝鮮と日本の近代100年   99.11.21
第3回   南北朝鮮の新体制と経済政策   98.11.15
第2回 現代韓国の政治と経済    96.11.10
第1回 解放・分断の50年   95.10.10

その他の大会

国際高麗学会日本支部創立20周年と『在日コリアン辞典』出版を祝う会   10.11.27
国際シンポジウム「激動する朝鮮半島と北東アジア」   01.6.9
シンポジウム「韓国経済の展開と構造」   00.5.13