国際高麗学会日本支部 第28回学術大会
主 催 | 国際高麗学会日本支部 / 北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院東アジアメディア研究センター |
日 時 | 2024年 6月 8日(土) 終了 |
会 場 | 北海道大学 学術交流会館 |
パンフレット |
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プログラム |
〔午前の部〕 10:00 自由論題報告
[第1部会] 第2会議室 ①「槿友会の結成初期における運動の性格の再検討」大橋利光(東京大学大学院) ②「在日朝鮮人詩人金時鐘が描く海と故郷―3つの詩碑を中心に」岡﨑享子(立命館大学) ③「한국사회의 제노사이드(genocide), 그 평화적 상상력」전철후(원광대학교) ④「震災・美談・記憶ーー関東大震災時に朝鮮人を救った大川常吉署長の逸話をめぐって」韓光勲(大阪公立大学大学院)
[第2部会] 第3会議室 ①「日韓連帯‐日本カトリック教会に焦点を合わせて」趙基銀(立教大学) ②「「正平協」の日韓連帯活動 1970年代を中心に」古屋敷一葉(同志社大学大学院) ③「日本人の立場から考える民族教育擁護運動−日本朝鮮研究所の民族教育擁護運動を中心に」韓昇熹(東京外国語大学) ④「実践としての「朝鮮」研究:1970年代京大人文研の活動を手がかりに」山口祐香(日本学術振興会)
[第3部会] 第4会議室 ①「越境を生きる高齢期の女性における文化活動の民族的意義—京都市と大阪市の民団系在日コリアンを事例に—」崔琳(上海外国語大学) ②「韓国の輸出指向工業化と「韓米輸出振興協議会(EPSC)」の役割 ―1960年代後半の奇跡的な輸出成長を考えるー」朴根好(静岡大学) ③「朝鮮は戦争をするのか―統一政策転換の真意はー」文光喜(愛知朝鮮学園)
[第4部会] 第6会議室 ①「チマチョゴリにみる在日コリアンのアイデンティティの変化 -ポスターの造形分析を通して-」具本愚(大阪大学大学院) ②「1950-60年代の「アリラン」関連レコードから捉える戦後日本の朝鮮観」孫長熙(大阪大学) ③「美学への探求:1960 年代における朝鮮半島の絵画作品」劉國強(明治大学大学院) ④「訓民正音の文献刊行に適用された木版、金属活字、木活字のタイポグラフィ」劉賢国(筑波技術大学)
12:00 国際高麗学会日本支部総会 第4会議室
〔午後の部〕13:00-17:00 小講堂
シンポジウム 「日韓連帯とは何だったのか、何を生み出したのかーその基層にあるもの」
大会シンポジウムでは、1970-80年代日韓連帯運動と90年代以降のそれとの変容と継続を明らかにすべく、90年代以降運動の各個別現場におけるそれぞれの成果と課題、各個別運動を横につなぐ理念および展望を議論する。それをとおして、「日韓連帯」というトランスナショナルな運動文化に作用する思想と行動のメカニズムを探り、その基層にあるものに迫る。 1965年に脱植民地化の課題を度外視したまま国交を正常化した日韓両国は、1990年代に入り、歴史問題が日韓関係の懸案として浮上すると、「請求権は解決済み」だとする認識にもとづくいわゆる「65年体制」の限界が浮き彫りになり、それが近年、両国が尖り合う根源をなしている。とはいえ、「65年体制」を廃棄するともなれば日韓関係は破局を免れまい。 だとするならば、「65年体制」に代わる日韓関係の新たな枠組みを生み出す必要があるが、そもそも戦後の日韓関係は「65年体制」に全面的に依存してきたわけではない。むしろ「65年体制」に回収されないかたちで築かれてきた市民運動や民間交流も数多く存在する。たとえば、韓国の民主化運動や歴史問題の真相究明・戦後補償裁判を支えてきた日本の市民運動も日韓関係の重要な一場面と言える。そこでカギとなるのが「日韓連帯」というキーワードである。 1970年代以降、日本の市民社会では、韓国の民主化運動へのコミットや、貧困・公害輸出・買春観光など社会問題への関心、在日コリアンの社会的・法的権利をめぐる市民運動など「日韓連帯」の流れが存在した。これらのうち、韓国の民主化をターゲットにした概念としての「日韓連帯」は韓国の民主化とともに過去のものとされ、その実践的・象徴的イメージは途切れてきたとはいえる。しかし、実際のところ1970年代当時から運動の現場に参加していた人びとのなかには、国民国家レベルの動向とは別に直向きに運動を続け、あるいはその後時代や社会の変化とともに都度に新たな主題を立て社会変革への歩みを築いてきた。こうした蓄積が、1990年代以降、戦後補償裁判を日本の市民社会が支え、それが「戦後日本の戦争責任論」にも変容を促したように、「日韓連帯」の実践は双方向的・自己変革的な関係へと進化しつつ継続されていると言える。 本シンポジウムでは、運動のイシューごとに「日韓連帯」を分析するのではなく、朝鮮半島と日本の近現代を生きるなかで、関与の濃淡強弱がありながら連帯を繋いできたものは何なのかを検討する。そのために、こうした「日韓連帯」の多様な体験を掘り起こし、見つめ直すことが「65年体制」を根底から再編する新たな枠組みの土台となりうるはずである。重要なことは、日韓の市民社会が実践した共同作業の連続と断絶、継承と発展の系譜をたどり、こうした連帯を突き動かしてきた言説と理念を丹念に導き出す作業である。そうすることによって、日韓の市民社会の実践を連続する運動体験の蓄積として統合的に把握し、連帯の実像に接近できるといえる。
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